2025/04/28
性暴力やセクハラ、性差別については、人々が、❝わがこと❞として考える段階を経ないで「コンプラ違反だからダメだ」だけの世の中になってるような気がしてなりません。自分のことは棚に上げて、そういうことをした人をスケープゴートにしているように思えます。
前の職場(埼玉医大総合医療センターメンタルクリニック)でトラウマ外来を開いていて以来、15年もの間、性被害を訴える患者さま、クライアントさまに数多くお会いしてカウンセリングをしてきました。性被害患者様が私がお会いした患者様の中で最も大きな割合を占めていたと思うほど、性被害に苦しんでる方々にお会いしてきました。そこで、家庭、職場、コミュニティ、公の場で、性暴力が容認されている生々しい様子をまざまざとお聴きしてきました。二次被害、三次被害は当たり前という苦しみをお伺いしてきました。
ようやく回復の道に進み始めたのに、芸能界のダウンタウンの松本さんやスマップの中居さんなどの言動によって、そして、それらに対する世の中の人々のコメントによって、さらなる二次被害・三次被害に遭われて、また奈落の底に突き落とされて苦しんでいるクライアント様を見ると、本当に心が痛みます。
性加害者はもちろん、その周りの人たちも、普通に素直に相手をどれだけ傷つけたかに思いを馳せ、性加害をした事実や重大性を認めてほしいと思います。そして、すみやかに性加害・性依存症の治療を受けてほしいと思います。ダウンタウンの松本さんには、決して、何事もなかったかのように、サブスク配信などで復帰しないでほしいと思います。(ネットニュースのコメント欄では、「地上波ではなくて視聴者が見る見ないを選択できるサブスクでの復帰は良いアイデア!」という意見が大多数でショックでした。傷ついてる被害者への心からの謝罪が先決だと思います)
もちろん、充分反省して治療を受けて依存症から回復されたら、社会復帰の道は閉ざされるべきではないと思っています。ただし、被害者が加害者を許す義務はもちろんなく、二度と顔を見たくないという被害者がいる限り、地上波での復帰はあるべきではないと思います。
一方で、性依存症は、愛着の問題が関係していることがとても多いと臨床上、思っています。「性加害者は極悪非道な人間だから社会から抹殺するべき」ではなく、「もしかしたら、自分も性依存症に陥っていたかもしれない、そして、相手のNOを受け入れることができず、性暴力・性加害・性差別をしてしまった可能性もあったかもしれない・・・」という目で、性加害者が治療を受けて回復するプロセスを応援するような世の中になってほしいな、とも同時に思います。
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